加工顔料(着色剤)による機能化・品質向上の事例
TECHNOLOGY

二酸化チタンの高濃度・高分散を実現

いわゆるクロスとよばれる壁紙はポリ塩化ビニルをはじめとするプラスチックを基材にした樹脂壁紙が大半を占めています。色調は白系が圧倒的に多く、そこに使用される着色剤は二酸化チタンと呼ばれる白顔料です。この顔料が薄いプラスチック層の中に適量練りこまれて、壁紙の白さと隠蔽性(壁に貼ったときに下地が透けて見えない性質)を発揮します。着色剤は出来るだけ少ない量の添加で、十分な白さと隠蔽性が発揮できることが望まれています。同時に、混ざりやすく、顔料粒子の分散性が良いものが求められます。私たちはポリ塩化ビニル壁紙用の着色剤として、二酸化チタンが80重量%の高濃度で処方された高流動性のペースト状加工顔料を完成させた先駆者です。塩ビ壁紙の品質向上、生産性向上、コストダウンに貢献しています。

ペースト粘度の安定化
(増粘、沈降分離の抑制)
を実現

二酸化チタンは比重がとても大きく(約4.2)、それを80重量%もの高濃度で配合されたペースト状加工顔料は、保管中に二酸化チタンの分散粒子が再凝集あるいは沈降して、固体と液体が分離しやすいという問題がありますが、弊社は長期に渡る安定性(粘度増加や沈降分離の抑制)の実現に成功しています。ペーストの粘度が安定化しているので、計量性などのハンドリング性や発色の安定性(均一性)での好評を得ています。

印刷適性や接着適性を阻害しない設計

表面に印刷インキ、裏面に接着層を施して使用される「印刷原反」と呼ばれるプラスチックフィルム(白系が多い)の成型に使用される着色剤は顔料分散も然ることながら、着色剤中に配合される材料(顔料、樹脂、その他の配合剤)の種類が、フィルムの品質(印刷適性)に大きな影響を与えることがわかっています。このような用途向けの着色剤の設計には印刷インキをはじくような成分、接着性を低下させるような成分を含まない材料を厳選しています。

波長の選択的反射吸収特性

被着色物の光の反射や吸収に関して、波長のコントロールが必要な用途があります。目的に合わせた材料を使用した着色剤を提供しています。遠赤外線を反射する材料は路面の日射反射塗料などに、紫外線を反射する材料は日焼け防止の化粧品などに使用されています。また、農業用のマルチやハウス、トンネル用のフィルムには植物の生育促進のために特定の波長の光線を透過あるいは反射する性能が付与されています。

その他、さまざまな用途に対応する特殊な品質

プラスチックが用いられる製品には特別な性能を必要とするものがあります。例えば、電線被覆材料には、絶縁性のコントロールが要求されます。食品包装容器などに用いられるプラスチック成型材料では、配合材料由来の臭気を抑制することが要求されます。湿気硬化型の1成分形シーリング材に用いられる着色剤は低水分が要求されます。したがって、これらの製品に使用される着色剤も、それぞれの用途に応じた特性が発揮できるような材料で設計しています。

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